オンプレミスのIBM i とIBM Bluemixクラウドとのシステム連携を検証いたしました。

概要

IBM i はオンプレミスに配置されるSoR(System of Record:情報の記録を主としたシステム群)として典型的な地位を占めておりますが、昨今のクラウド化やRESTを中心とした疎結合なシステム連携のステージからは離れているように見受けられます。今回行った検証はその“重厚な”イメージを払拭し、より簡単にクラウド連携が行えることを示すために行われました。

※ISC(IGUAZU Solution Center)は「IHCC(IGUAZU Hybrid Cloud Center)」に名称変更いたしました。

背景・課題

IBM i は御存知の通りRPGと呼ばれる言語で書かれたプログラムを、5250エミュレータのようなターミナルで操作するシステム装置のことを指します。これは非常に単純な仕組みで構成されているため、非常に高速に動作するように設計されています。しかし、これはクローズな環境で特定業務に特化されたシステム群であることを示しており、オープンな環境との相互接続性が犠牲になっていることを意味します。
世の中の流れはますますオープン化、クラウド化の流れが加速しており、このままではクローズなメインフレームやオフコンは無用になるかのような論調になりつつあります。
そこでイグアスとしては長らくお使いいただいているIBM i をクラウド対応させるためのソリューションを検証いたしました。検証のポイントを以下にまとめました。

検証のポイント

  • IBM iの堅牢化と、Bluemixの開発容易性の両立
    - IBM i のシステム堅牢性をそのままに、容易にクラウド対応するための基盤としてBluemixとの連携が行えることを検証で確立しました
  • 最新のWatsonをはじめとしたコグニティブ環境との融合
    - 連携したBluemixではWatsonをはじめとしたコグニティブ、アナリティクス環境が標準で用意されているため、簡単に連携が行なえます
  • セキュアなオンプレ環境をセキュアな接続で安全にクラウド化
    - BluemixではSecure Gatewayというオンプレとクラウドをセキュアに接続できるソリューションを標準装備

既存のIBM i は今までのRPGからILE RPGに変換し、それをIASで公開する必要があります。しかし一般的なAPI化のソリューションと比較するとGUIで設定可能で、非常に簡単に設定が可能です。

またセキュアな接続を行うためのSecure GatewayもほとんどGUIで設定可能であり、非常に少ないリソースで構築することが可能です。

Bluemixはアジャイルな開発環境を提供するツール・チェインをはじめ、java、node.jsを実行するためのランタイム、そして130を超えるサービスと呼ばれるアプリケーション群が簡単に利用可能です。このアプリケーション群にはWatsonなどのコグニティブ・サービスが多数含まれております。

検証概要

使用したハード/ソフト

  • IBM i ×1台
    機種:Power720(8202-E4D)の4coreモデル(最大:28400CPW)
    検証区画の割り当ては以下です。
     CPU:0.1core(710CPW)
     MEM:4GB
  • VMware上のWindows環境(Secure Gatewayクライアント用)
  • IBM Bluemix

構成図

構成図

IBM i にはILE RPGのサンプルプログラムを導入し、それをIAS上でREST APIとして定義しました。同じオンプレ環境にはSecure Gatewayが導入されたWindows VMを用意し、接続作業を行いました。

ここで一度接続が確立されてしまえば、あとはBluemix上でIBM iにアクセスするための仮想アドレスが自動的にSecure Gatewayから提供されるため、例えば自作のjavaアプリやnode.js、Pythonプログラムから自由にIBM i のプログラムにアクセス可能です。今回はnode.js上にNode-REDが導入されたボイラー・プレートと呼ばれるテンプレートを使用し、WebアプリケーションのバックエンドとしてIBM i にアクセスできる環境を作成し、検証しました。

サンプルプログラムの導入から、Bluemix上での実装までは非常に簡単に行えるため、慣れているお客様であれば2日程度あればできる内容ですので、ぜひご体験いただければと思います。

ISC担当者より

今回の検証は特にIBM iを長く運用されていて、かつあまり他のシステムとの連携を行われていないお客様に実施頂きたい内容と考えております。REST APIはhttpのプロトコルベースで簡単に接続が行えることから、非常に多くのクラウドシステムで採用されています。読む、書く、更新する、削除するという基本的な動作は全て行えて、かつ簡単な仕組みですので、ぜひ一度体験いただければと思います。

パートナーさまの声

今回はIBM様と共同で実施し、非常に早く、そして非常に簡単に実装されたことについて驚いておりました。IBM様としてもこのソリューションモデルは非常に注目しているとのことでしたので、今後共継続して検証を行っていきたいと考えております。

関連リンク

※導入に関わる関連リンク先は全て英語ですので、弊社にて日本語化したファイルをご用意しております。ご入用の方はお申し付けください。

用語集

REST API
Qiitaに詳しい記事がありますので、こちらをご参照ください。
https://qiita.com/TakahiRoyte/items/949f4e88caecb02119aa
コグニティブ、Watson
一言でWatsonと言っても非常に多くのサービスがあります。下記リンクをご覧ください。
https://www7.i-guazu.co.jp/product/ibmsoftware/product/info/explain/explain/Watson_API
Secure Gateway
https://www7.i-guazu.co.jp/ja-JP/product/cloud/IBM/info/explain/explain/IBM_Secure_Gateway_Sum
IBM i ILE RPG cloud integration sample with IBM Bluemix
https://www.ibm.com/developerworks/ibmi/library/i-ile-rpg-cloud-integration/
Building a REST service with integrated web service server for IBM i Part 1
https://developer.ibm.com/tutorials/i-rest-web-services-server1/
Building a REST service with integrated web service server for IBM i Part 2
https://developer.ibm.com/tutorials/i-rest-web-services-server2/
Building a REST service with integrated web service server for IBM i Part 3
https://developer.ibm.com/tutorials/i-rest-web-services-server3/

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